2011年08月17日

「放射線測定」考

 6月に、福島市の某所で毎時150マイクロ・シーベルトというホットスポットがあることをフジテレビのニュースJAPANが報じた(実は、このホットスポットは私が発見したものだ)。
http://www.youtube.com/watch?v=DRehttRV3ao 
(1分10秒目あたり参照)
 もちろん、地表を測っているから高い数値が出るわけであり、これに対して異論を唱えられることは多い。地上1メートルを計測しろというわけである。

 「正確な計測」「統一した基準」という議論は有力である。

 文部科学省に報告される全国46都道府県(福島県を除く)の放射線量データが、7月26日発表分から地上1メートルのものに「統一」されたという。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110727k0000m040105000c.html
 どこかの大学の副学長も、正確な計器によって正しく測定された数値でないものは公表すべきでないと発言している(安価な測定器は信頼できないという意味らしいが)。

 経済産業省資源エネルギー庁は、「インターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する」という目的で、「原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」を一般競争入札に付している(すでに結果も出ているが、ここでは7000万円で東京都中央区の大手広告代理店が落札ということだけ記載しておく)。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1106/110624b/110624b.htm
(とくに、末尾「入札説明書等はこちらからダウンロードして下さい」の(3)仕様書を参照のこと)

 「正確な計測」「統一した基準」という「正論」が与える効果は、福島の人々が各自の問題意識で行う線量計測ととりわけその公表を萎縮させ、政府の公式発表に従わせるということにある。なけなしの預金をはたいて買った線量計も、「基準を満たさない不正確な計器」というわけである。

 しかし、そのような発想は「客観性の病い」であって、無意味とはいわないまでも、現実を知る上ではむしろ「有害」ではないかとさえ思う。私たちは、どこに放射線源があるかを知っている。地上に降り積もった放射性物質が放射線を発しているということである。であれば、その分布がどうなっているかを調べるためには、地表を測るのが定石である。

 人々が生活する上で、マイクロ・ホットスポットを避けることが重要で、そのためにはそれがどこにあるかを発見する必要がある。「地上1メートルで統一」とか「△メートルおきのメッシュで測定」といった機械的な発想は、作業を妨げる「効果」しかもたない。そもそも目指しているものが違う、と言い換えてもよいだろう。嘘だと思うなら、地上1メートルで計測してマイクロ・ホットスポットを発見できるか試してみればよい。

 また、よく「高い数値をそこだけ取り出して発表している」というご批判を受ける。要するに、誇張し、あるいは事実を歪曲して伝えているとでも言いたいのであろう。私たちの測定チームは計測したすべての地点を測定した機器の名称や測定方法も含め公表しているので、線量の高い地点だけを発表しているというのは誤解であるが、そのことをふまえてなお書くならば、人々が暮らしていく上では「線量の高い地点がどこにあるか」ということが決定的に重要な情報なのである。極言すれば、線量の低い地点に注意を喚起する必要はない。福島市内に驚くべき高い放射線量を示す区域があるということそれ自体が重要な情報なのである。

 そのような問題意識で、「地上1メートルで放射線測定」という現実を眺めると、むしろ「何のためにそのような方法を採用しているのか?」という疑問が湧く。

 「平時」における測定方法で「非常時」における測定を続け、それへの「統一」を求め、「正確な数値でなければ公表すべきでない」とまでいう。福島の人々が自分たちの健康や生活を守ろうとして行っている活動を敵視し、いったい何を守ろうとしているのか?


参考:市民放射能測定所
http://www.crms-jpn.com/mrdatafoodcat/

posted by あるじ at 00:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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